環境学は昨今の環境ブームにより現在日本人大学院留学生に最もに人気の高い専攻のひとつです。海外では環境学といっても理系の学位だけでなく、環境政策や環境デザインを学ぶ学位もあり、そういった専攻であれば文系の学生も入学可能なためさらに人気が高まっています。ここでは特に文系の学生でも入学できる環境系学位を中心に紹介しています。

環境系専攻一覧

Features

環境学

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環境学 (Environmental Studies)

環境学というとその研究テーマは非常に幅広く、海外大学院に進学する場合も進学前に研究テーマはある程度絞り込む必要があります。環境学とは自然環境だけでなく社会環境、都市環境など様々な分野に及びますし、研究テーマに関しては環境と人間の関係性について政治科学、公共政策学といった文系の分野から化学、生物学、地学といった理系の分野まで網羅します。そのため環境学とはもともと理系出身の学生が環境問題をテーマに研究をする理系の専門分野をいう認識を持っている方もいらっしゃいますが、環境政策、環境管理、都市開発、環境開発といった文系出身者でも進学できるコースがあるのが特徴です。

現在海外の大学院では、環境学系のコースだけでも、環境保護(Environmental Conservation)、環境工学(Environmental Engineering)、環境科学(Environmental Science)、環境政策(Environmental Policy)、環境開発(Environmental Development)、環境管理(Environmental Management)、環境経済(Environmental Economics)など様々なコースが開講されています。特に発展途上国の環境開発支援や自然環境保護などが注文を集める昨今、非常に人気のある専攻の一つと言えます。

環境学

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環境政策学(Environmental Policy)

環境政策とは自然環境、社会環境など様々な環境問題に対して民間団体では解決しきれない問題に対して行政、または行政に伴う機関が行う政策について研究する学問です。環境政策についてはその是非を問う際、環境法、環境経済、環境工学など様々な知見を持った研究者の意見を加味し、また発展途上国など政策について国際開発学、国際関係学といった学問を連携する必要がある場合もあります。いずれにしても環境汚染や環境破壊といった環境に関する様々な問題に対し、社会学、また科学的知見の元将来を勘案した上で現実的に社会への変革手段としてどのような政策が打てるかを考え、あるべき未来とそこへ至る道を実現するために必要な方策を提案していくことを目的とする問題解決型の研究です。

海外の大学院ではもちろん具体的な政策手法についても学びます。現在では規制法、経済的手法、情報的手法と大きく分けることができますが、規制法については社会への影響が非常に大きいことから、環境課税などの経済的手法、また資格制度やラベリングといった情報的手法は主にとられています。また環境への影響を事前に調査することによって、予測、評価を行う環境アセスメントの手法についても学ぶことになりますので、環境に関する様々な問題を提起し、その問題を解決するための政策を立案、是非の検討、そして実際に施行するまでの過程とその方法を学ぶ学問と言えます。

環境学

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環境科学(Environmental Science)

環境科学とは、主に自然環境について科学的知見から研究を行う学問です。特に水質、土壌、大気を汚染している実際の度合いを測定する為の手法を学ぶことができます。特に科学的見解から環境アセスメント(環境影響評価)の手法を学びますので、調査、予測、評価の項目である公害(大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭など)および自然環境の保全(地形、地質、植物、動物、景観)についての幅広い知識が必要になります。

海外の大学院で環境科学を希望する方は発展途上国に対しての環境支援をキャリアゴールに設定している方多いのが特徴ですが、環境アセスメントの手法は日本国内での環境政策についても必要になる学問です。昨今生物多様性基本法が制定され、環境省が環境アセスメントを開発事業の開始前に行うことを義務つけたため、環境政策や環境科学といった分野は今後さらに注目を浴びる学問と言えるでしょう。

環境学

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環境デザイン、管理学(Environmental Management)

環境デザインにおける「環境」とは、衛生工学や公害などだけでとらえる環境などだけではなく生態に配慮した生き方を設計する、デザインするという目的の学問です。なお環境デザインは高速道路建設や河川整備、官公庁等が文化財跡地や公園緑地等を整備する際の事業名称においては「環境整備」、国立公園等の整備は「森林保全」「森林保護」となり環境デザインの研究テーマには通常含まれません。

あくまで環境デザインの研究テーマは「環境は生態環境」であり、その範囲は地域や都市、社会基盤から建築、ランドスケープ、インテリアなどの場所、空間などが含まれ、対象は家具などから、山野の自然、農山村、広場、公園などの地域対象そのものおよび相互の関係性を理解分析しデザインすることである。地域の計画・設計立案を行うこと、地区の課題を分析し、計画を導くこと、自然資源をいかした生活基盤整備(風力発電、太陽光発電等)、都市緑化、自然保全などによる都市と自然との調和を保つこと、文化、歴史、自然資源と観光、都市機能拡大等の地域間開発の調和をとること、地域、都心、街区等の景観形成を行うこと、個々の建築や空間の外装、内装をデザインするなどです。